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ナシの剪定方法

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ナシを家庭で栽培したいですね



■剪定とは

そもそも剪定は、どうして必要なのでしょうか?

ナシなど、大木に育つ樹は、
剪定をせずに放任して栽培すると樹が大きくなりすぎ、
管理や収穫に手間がかかります。

剪定することにより、樹高を抑え、
場合によっては枝を誘引して、
管理しやすいように仕立てます。

また、不必要な枝を切ることにより、
日当たりと風通しがよくなり、樹が健康になり、
病害虫の被害を受けにくくなります。

さらに、古い枝を新しい枝に更新することにより、
花芽がつきやすくなり、収量が上がります。


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鳴門 梨畑、梨畑をみると誘引や剪定がわかります


■ナシの剪定の方法

ナシの剪定は、
落葉後~翌年の芽が芽吹くまでの期間に行います。

まず、根元から生えてくる台木(ひこばい)を、
地際から切り取ります。
ひこばいにはトゲが生えているので注意します。

次に、上向きの枝や重なった枝、太目の枝を、
根元から切り落とします。

ナシは、1年枝の先端~数芽と、
2年枝・3年枝の腋芽に花芽がつく性質があります。

そのため、翌年以降の花芽確保のため、
1年枝は枝の途中で切り返し剪定をし、
そこから伸びた枝を翌年の1年枝とします。


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花も楽しめます


■主枝にコブがある場合

過去に切り落とした側枝の痕から何度も発芽し、
その都度切り落としていると、
痕がコブ状になることがあります。

コブ状になると硬質化するため、
養分の通過が悪くなり、樹の生長が阻害されます。 

コブをきれいに切り落とせば解消できるのですが、
コブは硬質化している上、
主枝に接する部分は大きく広がっているので、
ノコギリで切り落とすのはなかなか苦労します。

剪定する際、枝の付け根の部分を残さないように切り落とすと、
コブの予防になります。


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ナシの赤ちゃん


■剪定後の処理

剪定後は、太い枝の切り口に、
水分の蒸発や病原菌の侵入を防ぐため、保護剤を塗りましょう。

本来は切る都度保護剤を塗布するのが一番よいのですが、
作業効率が悪くなります。

できれば剪定当日に塗布したいのですが、
ナシの樹が複数あるなど、当日の塗布が難しい場合は、
翌日以降でもかまわないので、
遅くとも雨が降る前に保護剤を塗りましょう。

ナシの場合、保護剤の最大の目的は胴枯病の予防ですが、
胴枯病は雨により、傷口から感染するためです。

保護剤は、切断面に満遍なく全体を覆うように塗りましょう。

■参考
・ナシの育て方 庭植え|棚仕立てで収穫量を高める栽培
・ナシの育て方 鉢植え|樹上で完熟させてから収穫!
・セイヨウナシの育て方 庭植え|摘果を2回に分けて栽培
・サルナシの育て方 庭植え|キウイフルーツに似て栽培しやすい
・サルナシの育て方 庭植え|キウイフルーツに似て栽培しやすい

ナシ かかりやすい病気は?

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ナシ、元気に育ってほしいですが


ナシは日本の気候に適しているため育てやすい果樹ですが、
品種によっては栽培が難しいものもあります。

豊水や幸水といった赤ナシが家庭菜園では、育てやすく人気です。


■ナシ かかりやすい病気は? 

比較的全国どこででも栽培されているナシですが、
病気に弱い作物ですので栽培するときには注意が必要です。

かかりやすい病気と対策を、
あらかじめ頭に入れておくと対応しやすいですね。

1.黒星病(クロホシビョウ)
果実に黒い星のようなスス状の胞子が見られ、見かけが悪くなります。
触ると手に黒く残ります。

黒星病も品種によってかかりやすさが異なりますが、
ほとんどの品種で発生します。
「幸水」がもっともかかりやすいといわれています。

◎発病しやすい条件
・花・葉そう基部の病斑が伝染源となる
・病原菌は、降雨によって十分な水分を得ると飛散しやすくなる
・開花から2週間以内に黒星病が発生するとその後多発の危険性がある
・5~6月に気温が低く、雨の多い年は多発しやすい

◎発病してしまった場合
一度発病すると回復しないために実を落としてしまうのが一般的。
しかし、果肉に影響はありませんので、
落とした実を食べても問題ありません。

◎予防策
・春先葉芽、花芽基部の病斑の摘除
・適切な管理
・通気性、排水をよくする
・落ち葉は集めて土中に埋めるなどこまめに処分する
・開花前後の薬剤防除

2.輪紋病(リンモンビョウ)
無袋栽培の赤ナシなどを中心に発生する病気で、
収穫後に追熟する西洋ナシでもっとも被害が大きい病気です。

出荷後にも発病してしまいます。
枝や幹にもイボを形成しながら発病するため、
「イボ皮病」とも呼ばれています。

感染してしまったら感染部分の生命力が弱くなり、
ひどくなると壊死してしまいます。

◎発病しやすい条件
・発病適温は27℃前後
・高温でやや乾燥気味
・かん水量が少なく、生育後期に肥切れをすると多発する

◎発病してしまった場合
枝や幹の場合、感染したものが次々と周りに感染させていくため、発見したらすぐに切り取り処分し

ます。果実に発生している場合、収穫時期まで判断できないため対処できません。

◎予防策
・病気耐性のあるものを選ぶ
・袋がけをする
・梅雨時の防除を徹底する


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木のようすを時々チェックします


3.ナシ 黒斑病
「二十世紀」や「南水」で発病し、それ以外の品種では発病しません。
これまで「二十世紀」が黒斑病に対してもっとも弱かったのですが、
改良に成功し現在の「ゴールド二十世紀」は、黒斑病にかかりにくくなっています。

◎発病しやすい条件
・4~5月は平均気温18℃以上で、一日2~3mm程度の少雨条件が続いた場合
・6~7月は高温多湿が続いた場合
・冷夏長雨の年
・チッ素過多になっている場合

◎対策
病原菌である越冬伝染源を除去することが大切です。越冬伝染源として、
・側枝などに形成されて枝病斑
・短果枝の腐れ芽
・地表面の罹病落葉
などがあります。

果実に袋掛けをし、病原菌から守りましょう。
また、薬剤防除をする場合は、
10日間隔でのローテーション散布が効果的です。

4.胴枯病(ドウガレビョウ)
生態や防除法についてはまだ不明な点が多い病気です。
幹や枝の傷口から感染します。生育状態のよい健全な樹には発生しません。
傷口からのみ発感染するため剪定の時期などに多く発生します。
最悪の場合は樹全体が枯死してしまいます。

・二十世紀
・新水
・幸水
・豊水

■参考
・ナシの育て方 庭植え|棚仕立てで収穫量を高める栽培
・ナシの育て方 鉢植え|樹上で完熟させてから収穫!
・セイヨウナシの育て方 庭植え|摘果を2回に分けて栽培
・サルナシの育て方 庭植え|キウイフルーツに似て栽培しやすい
・サルナシの育て方 庭植え|キウイフルーツに似て栽培しやすい

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ナシ、日本ならではのみずみずしさ


日本ナシはその名のとおり日本が原産なので、
日本の気候にたいへん良く合っています。

熟すにつれて糖分が増えるので、
皮の色がよく出てから収穫するとよいでしょう。

もともと貯蔵が効かない幸水、新水、長十郎、愛甘水は、
気温の低い早朝に収穫すると新鮮でみずみずしく美味です。

新興は保存が効き、冷暗所で保存すればお正月までもちます。


[ナシ 鉢植え育て方]

植え付け時期場所

植え付け管理
6~8号鉢に植えつけます。
根を鉢の大きさに合うように、
太い根を剪定してから植えつけます。
細い根は残して、根が伸びる方向にあわせて広げます。

鉢の底に鉢底網を敷き、
鉢底石を入れてから用土を入れます。
用土は赤玉土(小)6:腐葉土3:川砂1、
または市販の培養土が良いでしょう。

植え付けたら、鉢の高さと同じくらいの高さで、
芽のすぐ上で剪定します。

肥料は、植え付けてから2~3週間後に、
固形の有機質肥料大粒を4~5個、
鉢の縁近くに等間隔に埋めます。

鉢は、日当たりの良い場所に置きます。

ナシは、自分の花粉では受粉しないので、
受粉樹を用意して人工授粉をする必要があります。
日本ナシに、セイヨウナシを受粉してもかまいません。
15℃以上の気温の日に、当日開花した花で人工授粉します。

摘果は、開花から2~3週間以内の5月中旬頃に行います。
全体で2~3果になるようにします。


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ナシの花も美しい


仕立て方剪定から収穫まで

・仕立て方
模様木風に仕立てるのが一般的な仕立て方です。
新梢の1/2程度で、枝の傾きと逆向きの芽のすぐ上で剪定します。
主枝と競合する枝は、付け根から切り落とします。
さらに下枝も切ります。

・剪定
新梢の中果枝や前年度から出た短果枝の頂芽が花芽になります。
また、わき芽にも花芽がつきます。
1月~2月頃、花芽のつかない長枝は、
1/3ほど切り詰め、短果枝を出させます。

・水やり
ナシは水切れに弱いので、午前中にたっぷり水やりをします。
真夏には、朝夕2回水やりをします。

・施肥
元肥のほかに、毎年春(3月)と秋(9月下旬)に、
固形の有機質肥料大粒を4~5個、鉢の縁近くに等間隔に埋めます。

・収穫
完熟させてから収穫します。
熟した果実は、下から持ち上げるようにすると簡単に果梗から外れます。
未熟な果実は、なかなか外れないので、収穫の目安にしてください。

>>ナシの苗を見てみる

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ナシ畑


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ナシの花もきれい


ナシといえば、リンゴのような形のアジア系ナシと、
いわゆる洋ナシ型のセイヨウナシ、中国ナシに分類されます。

ここでは、以前から日本で栽培されてきた、
アジア系ナシの栽培方法についてご説明しています。

アジア系ナシはもともと日本の中部地方以南に自生していた、
ニホンヤマナシを改良したものです。

そのため、日本の多湿な気候に順応した果樹です。
日当たりが良く、適度に水分があれば、土質を選ばずに良く育ちます。


[ナシ 庭植え育て方]

栽培条件品種選び方

栽培条件
日当たりが良く、湿度があまり高くない場所で、
適度に保湿力のある土壌が栽培に向いています。

・品種選び
ナシは雨に強いとはいえ、梅雨で雨や曇天が続くと、
黒斑病の発生が起こってしまいます。
しかし、「豊水」や「幸水」などの赤ナシ系は、
多湿に強いため、家庭園芸向きです。

また、ナシは自家受粉せず、
多品種の花粉を受粉しなければなりません。

受粉樹を用意したり、多品種を混植しても良いですが、
ナシは接ぎ木が簡単なので、
1本の木に数品種の受粉樹を高接ぎしても良いでしょう。

人工受粉も、高接ぎの場合も、
日本ナシとセイヨウナシの組み合わせも可能です。


植え付け時期場所

・植え付け
3月頃に植えつけます。
直径50cm、深さ50cmの穴を掘り、
掘りあげた土の半分に腐葉土か、
堆肥を18L混ぜ込んで埋め戻します。

その上に、何も混ぜていない土を埋め戻し、
ナシの木の根をよく広げて浅植えにします。
このとき、太い根や切れた根は切っておきます。
植え付け後は70~80cmの高さに剪定し、支柱を立てます。

・植え付け場所
ナシは日陰に弱いため、日当たりの良い場所に植えつけます。
水はけの良い土壌を好みますが、
乾燥には弱いため、保湿力もある土壌が最適です。


仕立て方剪定から収穫まで

・仕立て方
最もお勧めなのは、「棚仕立て」です。
樹形がコンパクトなわりに、収量が多くなります。
また、剪定や摘蕾・摘果も棚仕立てなら楽です。

その他の仕立て方としては、
1本の主幹から真横に枝を誘引する「パレット仕立て」も、
壁面や塀に張り付くように仕立てるため場所をとらず、お勧めです。

また、主幹を2本つけた「U字形仕立て」や、
「立ち木仕立て」「扇状形仕立て」などもできます。

・剪定
冬の剪定は、樹が休眠している1月~2月に行います。
枝が込み合っているところは切り取り、
残した枝は形よく誘引します。

また、枝の先端は、花芽と葉芽のある芽の上で切ります。

切り取る枝は、下記のような枝です。
・古い枝
・真下を向いている枝
・まっすぐ上を向いている枝
・葉芽しかない枝
・平行して伸びている枝の一方
 (花芽の多くあるほうの枝を残します)

夏の剪定は、6月下旬頃に行います。
この時期になると枝が込み合って、
日当たりが悪くなるので、伸びた枝を整理します。
他の枝の邪魔をしているような実のない枝は、
もとから切り取ってしまいます。
その他の枝は、支柱などに誘引します。

・施肥
収穫後の10月と、12~1月に元肥として、
化成肥料か堆肥を施します。

・受粉
受粉樹が近くにあれば、虫によって受粉されますが、
確実に結実させるなら人工授粉をしましょう。
ナシの花は1つの花芽から7~8個の花をつけますが、
外側から3~4番目の花が最も大きな実になるので、
これらの花に受粉しましょう。


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人工授粉が効果的


摘蕾摘果
枝の先端で咲いている花は、人工授粉せずに芽かきします。
枝の先端で結実してしまうと、
果実の重みで枝が折れることがあるからです。

摘果は2回に分けて行います。

1回目の摘果は、開花後30~40日以内に行います。
1つの花のかたまりのうち、
最も大きく結実した果実を1つ残して摘果します。

1回目の摘果の10~20日後に、
果実の形や大きさ、病虫害の有無などを見て、
2~3個のうち1個を残して摘果します。

・袋かけ
袋かけをすると、甘さが落ちてしまうのですが、
袋かけをすることによって農薬を最小限に抑えて、
病虫害から果実を守ることが出来ます。
袋かけは、摘果が終わってから、
5月下旬~梅雨入りまでに行います。

開花中に薬剤を散布して、
赤星病や黒星病などの予防をする方法もありますが、
「菊水」「八幸」などの青ナシは袋をかけたほうが良いでしょう。
「幸水」「豊水」「新水」などの赤ナシは、
農薬をまいたなら袋かけをせず、
日に当てて甘味を増すようにしても良いでしょう。

・収穫
ナシは、苗を植えつけてから3年で収穫できるようになります。
枝の先端から順に熟すので、熟したものから順に収穫しましょう。

>>ナシの苗を見てみる