セイヨウナシ、木も美しい
セイヨウナシ(西洋梨)が日本に伝えられたのは、
意外と古く、明治初期だったといわれています。
しかし、日本の気候があまり適していなかったため定着しませんでした。
今でも主な産地は東北や信越地方などの寒冷地に限られています。
日本ナシは樹上で完熟させてから収穫しますが、
セイヨウナシは収穫後の追熟が必要です。
追熟は、冷蔵庫に入れることで中断することもできます。
[セイヨウナシ 庭植えの育て方]
■栽培条件と品種の選び方
・栽培条件
日射量が多く、雨の少ない冷涼な地域が適しています。
東北以北や、新潟県、長野県などの高冷地が適地です。
暖かい地方では、栽培は難しいでしょう。
・品種選び
日本ナシと同様に、自分の花粉では実をつけにくいので
、受粉樹として他の品種を混植する必要があります。
受粉樹は、幸水や豊水などの日本ナシでもかまいません。
スペースがあまり取れない場合は、矮性の台木苗もあります。
ラ・フランス、ル レクチエ、バートレットなどの品種があります。
ラ・フランス、味に定評が
■植え付け時期と場所
・植え付け
セイヨウナシの植え付けは11月~12月が適期ですが、
雪が積もる地方や寒さが厳しい地方では、
2月~3月に行うとよいでしょう。
根を広げて植えつけます。
植えつけたら、
苗木は高さ45~60cmくらいの位置で、
強く切り詰めます。
・植え付け場所
日当たりがよく、よく肥えた、排水のよい土壌を好みます。
セイヨウナシは根を深く張るので、
肥えた土壌層が十分厚い場所に植えましょう。
■仕立て方と剪定から収穫まで
・仕立て方
棚仕立てが一般的です。
管理が楽な上、セイヨウナシは収穫期が台風の時期と重なるため、
果実や枝葉を台風から守りやすいからです。
また、セイヨウナシは日本ナシほど生育が旺盛ではないため、
立木仕立てにしても十分に管理できます。
・剪定
剪定は1月~2月に行います。
植え付けから1年目は、充実した枝を選んで1/3ほどに切り詰め、
他の枝は間引くか、軽い先刈りをします。
2年目、3年目の冬は、主枝の徒長枝は3/1ほどに切り詰め、
亜主枝の生長を心がけます。
亜主枝は、主枝の元の部分から30~40cm間隔で、
互い違いに伸びるようにつくります。
5~6年目になったら主幹を切り詰めて、
主枝が3~4本の開心形に整えます。
・施肥
9月下旬~10月上旬にお礼肥として即効性の肥料を、
11月~12月に元肥として遅効性の化成肥料を施します。
・受粉
セイヨウナシは自分の花粉では受粉しにくいので、
受粉樹を混植したり、人工授粉を行ったりします。
花粉は、セイヨウナシと日本ナシの組み合わせでもよいですし、
同じバラ科の果樹であるマルメロ、カリン、リンゴの花粉でも受粉はできます。
・摘蕾と摘果
果実を大きく育て、
また、翌年も結実させるために摘果を行います。
セイヨウナシの摘果は2回に分けて行います。
1回目は、花が散ってから約20日後、
1つの果実のまとまりに1果の割合で、
形が整っていて大きな果実を選んで残し、
それ以外を摘果します。
2回目は、落花後40~50日後頃に行います。
傷んだ実や小さい実、病虫害にあっている実を取り除き、
葉25~30枚に1果程度になるように摘果します。
・袋かけ
袋かけは、病虫害から果実を守るため、
2回目の摘果の後、6月上旬までに行います。
バートレットの果実
・収穫
セイヨウナシは、まだ未熟なうちに果実を収穫し、追熟させます。
収穫が早すぎると追熟できないまま果実が傷んでしまいますし、
遅すぎると肉質が粗くなって味が落ちてしまいます。
品種ごとのおおよその収穫期の目安は、下記のとおりです。
・バートレット...満開後115日前後
・ラ・フランス...満開後165日前後
・ル レクチェ...満開後170日前後
・シルバーベル...満開後170日前後