育て方がやや難しい佐藤錦
[佐藤錦の育て方]
■暖地では育てにくい品種
サクランボの品種として人気のある佐藤錦ですが、
佐藤錦が好む温度は、年間平均気温が7度以上14度以下と言われます。
耐寒性はあるのですが、夏に涼しい気候を好むため、
暖地では栽培が難しいとされています。
暖地に植え付けたからといって、すぐに枯れるわけではありません。
佐藤錦は休眠から覚めるまで、
7度以下の低温に1450時間当たる必要があります。
暖地では、気温が下がるのが遅く、上がるのが早いため、
この1450時間に満たないことが多いのです。
さくらんぼ園(佐藤錦)
他にも開花時期に高温になると、極端に開花が遅れたり早まったり、
生理障害を起こして結実しにくくなります。
開花しても不完全花で受粉できなかったり、
開花期が受粉木の開花と大幅にずれてしまい結実しにくいです。
佐藤錦は性質がデリケートな部分も多く、
万全の環境で育てる必要があるため、暖地には向かないのです。
暖地でどうしてもサクランボを育てたいという場合は、
暖地サクランボという品種があるので、そちらを検討してみましょう。
暖地サクランボの場合は、自家受粉が可能なので、受粉木は不要です。
佐藤錦の花、授粉樹を育て、人工授粉をすれば結実が良くなります
■受粉木が必要
サクランボの多くの品種が自家受粉できないように、
佐藤錦も自家受粉できません。
そのため、受粉木として別品種のサクランボを育てる必要があります。
佐藤錦と相性が良い木は、
「ナポレオン」や「高砂」「香夏錦」などの品種です。
サクランボの木を2本も育てるのは難しい場合は、
佐藤錦のみを地植えにし、受粉木を鉢植えにして、
コンパクトに育てると、スペースを減らすことができます。
佐藤錦と受粉木の両方を鉢植えにして育てることも可能です。
■人工受粉をする
本来であれば、虫が受粉を手伝ってくれるのですが、
ベランダで育てているなどして、虫があまりいない環境の場合は、
自然に受粉するのが難しいことがあります。
佐藤錦と受粉木の花が咲いたら、
筆や綿棒などを使って、人工受粉をしましょう。
最も受粉率が高くなるのは、
水鳥の羽毛でできた毛ばたきを使うことです。
また、五分咲きの時期と、満開の時期と、
2回の人工受粉させることで、受粉率が上がります。
庭で育てていて、比較的虫の飛来が期待できる場所でも、
人工受粉をすることで、受粉が確実になります。
サクランボの赤ちゃん
■病害虫や鳥から守る
佐藤錦はとても繊細なサクランボのため、
害虫に葉をかじられただけでも調子を崩すことがあります。
時期に合わせて、病害虫を防除の薬剤を使うと、かなり軽減できます。
また、実がついて熟す頃は、鳥などに狙われやすくなります。
できるだけ薬剤は使いたくないという場合は、
サクランボの木をネットでできた小屋などに入れたり、
不織布や防虫ネットをかぶせて防除するようにしましょう。
■参考
・サクランボの育て方 庭植え|仕立て方と剪定に気を配り栽培
・サクランボの育て方 鉢植え|おいしい実は隔年収穫で栽培
・サクランボ 肥料の時期は?