ウメ(梅)は厳しい寒さに耐え、
いち早く花を咲かせて春の訪れを告げることから、
「百花の魁(さきがけ)」とよばれ、
多くの人々に古来から愛されてきました。
奈良時代以前は、「お花見」といえば、
サクラではなくウメだったそうです。
今でも、湯島天神や隅田公園など、
ウメの名所があちこちにあります。
ウメは花を愛でるだけでなく、実は梅干に加工され、
私たちの生活になくてはならないものになっています。
寒さに強く、栽培はそれほど難しくないため、初心者にもお勧めです。
ウメは花も楽しめます
[ウメ 庭植えの育て方]
■栽培条件と品種の選び方
・栽培条件
日当たりが良く、通気性と水はけの良い、肥沃な土壌を好みます。
日陰で湿気が多い場所では、徒長枝が多くなり、
花芽もつきにくくなるので避けます。
冬暖かい地方では実つきが悪くなりますが、
全国で育てることができます。
・品種選び
ウメは、同じ品種の花粉では受精しないものが多いので、
自家受粉する品種を選ぶと管理がたいへん楽です。
自家受粉する品種には、甲州最小、竜峡小梅、花香実などがあります。
自家受粉しにくい品種では、
相性の良い別の品種のウメを混植する必要があります。
梅干用梅で名高い南高や豊後は、自家受粉しにくい品種です。
■植え付け時期と場所
・植え付け
ウメの苗は冬に出回るので、購入したらすぐに植えつけましょう。
一般的に1月~2月が適期ですが、寒冷地は2月~3月に植え付けます。
接ぎ木部分がしっかりとしていて、
丈夫そうな苗を選ぶことがポイントです。
・植え付け場所
ウメは、品種にもよりますが、
剪定をしないでいると樹高が6~10mにもなります。
ある程度の広さのある場所に植えつけましょう。
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
ウメの実の熟していく色も美しいです
■仕立て方と剪定から収穫まで
・仕立て方
主幹の長さを60~90cmとして、主幹から出ている主枝を2~4本に立てる、
樹形の開心自然形仕立てが最も一般的な仕立て方です。
ある程度の広さを必要とします。
主幹形仕立ては、主枝から出る強い側枝を剪定しますが、
主枝の処理が悪いとどんどん上へ伸びていってしまうので、注意します。
・剪定
ウメの剪定は、夏季(6月~7月)と冬季(12月~1月)に行います。
夏季の剪定では、木の内側の徒長枝を間引いたり、
混みあっている部分の枝を根元から切って、
日当たりと風通しを良くします。
冬季の剪定では、混みあった部分の枝を切り、
新梢は先端を1/3程度切り返すと、短果枝ができて、
実を多くつけるようになります。
>>ウメの木の剪定方法
・施肥
元肥として、植え付け時に有機質肥料や堆肥をすき込んでおきます。
その後は、花が終わった後の3月~4月と、収穫後の7月~8月に、
遅効性の化成肥料や有機質肥料を追肥として与えます。
10月になったら、株から50cmほど離れたところに、
堆肥や有機質肥料をすき込みます。
・受粉
ウメには、自家受粉する品種と、自家受粉しにくい品種があります。
南高や豊後、白加賀など、自家受粉しにくい品種の場合は、
相性の良い他品種を混植します。
花と花を直接つけて受粉する、人工授粉を行うと、確実に受粉します。
・適蕾と適果
結実数が多すぎると実が大きくならないため、
余分な果実を摘果します。
4月までにある程度の数が生理落果する(自然に落ちる)ため、
それが終わった4月下旬~5月上旬頃に摘果します。
5~10cm間隔に1果を目安に摘果します。
傷があったり、病虫害の影響があるもの、形の悪いものを除き、
できるだけ大きな実を残すようにします。
小梅の場合は摘果する必要はほとんどありません。
・収穫
6月中旬~下旬が収穫期です。
利用目的に応じて、収穫期を調整します。
梅酒用にはまだ硬く青い段階で収穫し、
梅干用には黄色く色づき始めたものを収穫します。