サクランボは、一般的に開心自然型や扇状型に仕立て、誘引します
[サクランボの誘引は?]
サクランボの木は、剪定や誘引などをせず、放任すると、
伸びたいだけ伸びて、どんどん大きくなってしまいます。
上へ上へ伸びてしまっては、手入れがしにくくなってしまいますし、
花が先端にしか咲かないなど、不都合が出てきます。
花や実を楽しむのであれば、剪定は不可欠な作業ですが、
それとともに必要なのが誘引の作業です。
誘引することで、以下のようなメリットがあります。
■サクランボの誘引のメリット
・上へ伸びようとする枝を平行にすることで、低く抑えられる
・剪定や花摘み、芽摘み、摘果などの作業がしやすくなる
・養分が枝全体に広がり、充実した花芽を作るようになる
・枝と枝との間に隙間ができ、日照が確保できる
この中でも、充実した花芽を作るのは、
サクランボの実を楽しむためには、とても大切なことです。
サクランボには頂芽優勢という性質があります。
これは上にある芽に養分が集まりやすくなる性質ということです。
枝が上に伸びやすいサクランボは、
頂芽優勢の性質のため、枝の先端の芽だけが充実してしまいます。
これを誘引して枝を平行にすることで、
枝についているすべての芽に、養分を回すことができるのです。
樹高がまだ低く、誘引しなくても管理に問題がなかったとしても、
できれば誘引して枝を平行して仕立てておきましょう。
果樹は水平誘引をするものが多いです
■誘引の道具
誘引をするためには、株の樹高や枝の太さによって、必要な道具が変わってきます。
まだ若い木であれば、枝も細いため、弱い力をかけるだけでも誘引できます。
ところが、成熟して何年も経っているサクランボの木であれば、
枝も太く強くなっているため、軽い力では誘引しきれないことがあります。
生長具合によって道具を使い分けることで、
枝の力に負けない誘引をすることができます。
・支柱
サクランボの木がまだ小さいうちや、鉢植えで育てている時に便利です。
太さも、細いものから太いものまであるので、ある程度までであれば対応できます。
支柱自体が枝の力に負けて折れる、ということはほとんどありませんが、
曲げている枝が戻ろうとする力がかかり、支柱が地面から抜けやすくなります。
長い間同じ場所に支柱を挿していると、
風などを受けて揺れたりして、差し込んでいる穴が少しずつ広がってきます。
穴が広がると、どうしても抜けやすくなるので、
穴が広がっていたら、土を寄せて固めるか、新しい場所に挿し直しましょう。
また、地面に斜めに挿して使いますが、
完全な平行の状態を作るのは難しいため、誘引後も、枝はやや上向きになります。
・杭
地面に打ち込んで、枝に結んだ紐を固定するためのものです。
杭は、それほど大きいものでなくて構いません。
少し平たい棒状の木片を地面に打ち込み、そこに紐を結ぶだけ構いません。
枝に結んだ紐を巻きつけられて、地面から抜けにくい状態を作れればいいのです。
木片では枝の力に負けて抜ける場合は、金属製の螺旋杭を使います。
螺旋杭とは、ビニールハウスの基礎などに使われる資材で、
名前の通り金属がらせん状に曲げられている杭です。
らせん状になっている部分を土に差し込むことで、
真上に引っ張る力に対して、かなり強くなります。
他にも、テントを留めておくペグという道具も使えます。
・テープ、紐
支柱と枝を留めたり、枝に結んで杭とつなぐために使います。
テープは普通の粘着テープではなく、誘引用の紙テープを使うと、
枝にも優しいのでおすすめです。
誘引すると収穫量が格段に良くなるので試してみてください
■誘引する時の注意点
テープや紐で枝を結ぶ時は、
サクランボの芽に干渉しないように注意します。
花芽のある部分に紐などがすれると、芽を傷めてしまい、芽が落ちることがあります。
芽のある部分から少しずらして使うようにしましょう。
また、紐やテープをきつく締めすぎると、枝が思うように太れなくなります。
紐の部分だけくびれたようになり、
その部分の養分や水分を通す管も細くなってしまいます。
その後のサクランボの生育に影響することもあるので、誘引する時は、
少しゆとりがあるように結ぶようにしましょう。
■参考
・サクランボの育て方 庭植え|仕立て方と剪定に気を配り栽培
・サクランボの育て方 鉢植え|おいしい実は隔年収穫で栽培
・サクランボ 肥料の時期は?
・佐藤錦の育て方