クリ、収穫間近
クリ(栗)は、日本人に親しまれている果実です。
縄文時代から栽培されているといわれています。
中国グリ、日本グリ、ヨーロッパグリ、アメリカグリの、
4種類が代表的な品種です。
日本グリは料理や菓子の材料として広く利用されています。
中国グリは日本グリと比べて小さいですが、渋皮が剥けやすく、
甘味が強く、焼き栗(天津甘栗)として輸入されています。
[クリ 庭植えの育て方]
■栽培条件と品種の選び方
・栽培条件
全国各地で栽培できます。
有機質の多い肥沃な酸性土で、適度な湿度を持つ土を好みます。
寒さに強く、管理もしやすいのですが、果樹の中で最も日陰に弱く、
枝先まで日が当たらないと実がつかないこともあります。
・品種選び
クリの多くの品種は自家受粉しないので、
花の時期が合う多品種を混植や高接ぎしておくと、実が良くつきます。
相性は特になく、品種が異なっていれば大丈夫です。
2種類が近くに植えられていれば、
特に人工授粉の必要もなく、虫媒や風媒に任せていいでしょう。
日本で市販されている苗のほとんどが日本グリですが、
中国グリと交雑させた「利平」などの品種もあります。
イガにトゲのない品種もあり、
実がとりやすいので家庭果樹向きです。
クリの花
■植え付け時期と場所
・植え付け
クリの植え付けは、12月~3月に行います。
凍害を予防するために、40~50cmの高さで高接ぎされているので、
その部分より30cmほど上で剪定します。
太い根や折れた根を切り、根を良く広げて植えつけ、支柱を立てて支えます。
植え付けから3~4年で収穫できるようになります。
・植え付け場所
クリは日陰に弱いため、日当たりの良い場所に植えることが、
結実をよくするための最大のポイントです。
排水と保水の良い、有機質が多い肥沃な土壌が適しています。
栗ごはん、美味!
■仕立て方と剪定から収穫まで
・仕立て方
主幹形が一般的です。
5~6年目くらいまで、毎年冬に新梢の3/1ほどを切り詰めます。
数年たって樹高が4mほどになると、
樹の内部が日陰になって、実がつかなくなります。
そうなったら、主幹の下の主枝2~3本だけを残して、
主枝のすぐ上で芯抜きをして、樹高を低く維持します。
・剪定
剪定は12月中旬~1月に行います。
日当たりが良くなるように枝を間引いたり、
枝を短く切る程度でよいでしょう。
具体的には、新梢は1/3ほど切り詰め、
まっすぐに伸びる枝、内側に向かって伸びる枝、
混んだ部分を剪定します。
切り口が大きい場合には、
癒合剤や保護用ボンドを塗って、枯れ込みを防ぎましょう。
・施肥
土が肥えていて、排水も保湿性もよい場所であれば、
特に施肥の必要はありません。
あえて施すなら、収穫後の10月下旬~11月上旬に、
お礼肥として混合肥料を施します。
・収穫
イガが緑色から褐色に変わってかたくなり、
イガの上部が裂けて果実が見えるようになり、
やがて自然に落果します。
そうしたら、拾って収穫しましょう。
イガは濡れた新聞紙で半日ほど包んでおくと、
軟らかくなって、軽く踏むだけで簡単に外れるようになります。
すぐに食べずに冷蔵庫で2週間ほど貯蔵すると、
果実内のデンプンが糖分に変わって甘みが増します。