ザクロ、果樹としても美味
ザクロ(石榴)は、光沢のある葉や赤い花が美しいため、
庭木として人気が高く栽培しやすい果樹です。
また、挿し木などで簡単に増やすことができ、
よく実もつくため、家庭栽培向きです。
反面、樹勢が強いため、枝が伸びすぎないように,
剪定をしっかり行うことが、管理のポイントとなります。
ザクロの果実は、生食のほかに、
果実酒やジャムなどに加工して利用されます。
[ザクロ 庭植えの育て方]
■栽培条件と品種の選び方
・栽培条件
ザクロは適応力が強く、暑さ寒さや乾燥に強く、
土質もあまり選ばないため、日当たりさえ良ければ、
北海道南部以南なら日本全国で栽培できます。
・品種選び
ザクロには、花の鑑賞用に栽培される花ザクロと、
果樹として栽培される実ザクロがあります。
実ザクロは在来種と欧米の系統に分けられ、
在来種は熟すると裂果して赤色の種子が現れますが、
欧米の系統は裂果しないのが特徴です。
家庭栽培に適した品種には、
「大実ザクロ」「大紅ザクロ」「水晶ザクロ」、
などがあります。
ザクロは自分の花粉で受粉するので、
1本植えるだけで実をつけます。
植えつけてから、5~6年で収穫できるようになります。
ザクロの花姿も可憐
■植え付け時期と場所
・植え付け
ザクロの植え付けは、樹が休眠する12月~3月に行います。
直径50cm、深さ50cmの穴を掘り、
掘り上げた土の半量に、
腐葉土または堆肥と油かすを混ぜて埋め戻します。
さらにその上に、何も混ぜていない土を、
埋め戻してから植えつけます。
植えつけたら水をたっぷりと与えますが、
その後は特に水やりは必要ありません。
株元から伸びる枝は、主幹となる1本を残して切り、
主枝も高さ50~60cmで切り詰めます。
太い枝や小枝なども切り詰めます。
・植え付け場所
ザクロは日当たりさえ良ければ、
土質などは特に選びませんが、
できれば排水の良い土に植えつけてあげましょう。
■仕立て方と剪定から収穫まで
・仕立て方
幹の高さを決めたら、そこから周囲に広げるように、
2~3本の主枝を伸ばす仕立て方が一般的です。
・剪定
ザクロの剪定は、12月~2月に行います。
新梢は1/2くらいに切り詰めます。
徒長枝は切り詰め、
株元から伸びる枝(ひこばえ)は元から切ります。
他の枝と重なる枝や、内側に向かって伸びる枝も切ります。
・施肥
収穫後の9月中旬~10月上旬に、
お礼肥えとして配合肥料を施します。
ザクロは肥料をよく吸収しますが、
与えすぎると枝ばかりが伸びてしまうので注意します。
・受粉
ザクロは自分の花粉でよく受粉しますが、
花は雨に弱いため、開花期が梅雨と重なると、
受粉がうまくいかないことがあります。
筆先などで花の中をなでて、
人工授粉をしてあげると、よく結実します。
・摘蕾と摘果
1箇所に複数個の実を結んだ場合、
良い実を選んで1果に摘果します。
・袋かけ
ザクロの実は熟してくると果実が裂けますが、
その部分から雨水がしみこむと果実が腐ることがあります。
雨がしみ込むのを防ぐために透明なポリ袋をかけて、
果実が雨に当たらないようにして完熟させると良いでしょう。
観賞する場合は、袋をかけた状態なら1月頃まで楽しめます。
・収穫
9月下旬頃、果皮が黄赤色に変わり、
果実が裂けて種皮がのぞくようになったら、
収穫の適期です。