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ヨトウムシ 生態と対策

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  • by fruit
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ヨトウムシの若い幼虫


チョウ目ヤガ科に属するヨトウガ(ヨトウムシ)、
ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、
シロシタヨトウなどの総称です。


[ヨトウムシ 生態と対策]


■ヨトウムシ 被害

どのヨトウムシも幼虫が
葉を大量に食い荒らすことで
被害を大きくしていきます。

[ヨトウガ 被害]
3齢幼虫くらいまでは群がって加害します。

2齢幼虫までは被害をうけた葉は、
食害された部分の表皮を残して
白いかすり状になります。

3齢になると、
表皮も一緒に食害します。
被害用は
不規則に食い破られたようになります。

3齢以降の幼虫は、
主脈だけを残して暴食します。
5齢までは葉の上で生活を続けます。
6齢になると夜の間に食害します。
昼間は地際の土の中や
キャベツではキャベツの中に隠れています。

被害が広がると葉が少なくなるので
収量が激減してしまいます。

[ハスモンヨトウ 被害]
ふ化した幼虫は
集団で葉を表皮のみを残す
特徴的な食害をします。

葉の色が黄色っぽくなったかと思ううちに、
茶褐色色に変わって枯れてしまいます。
枯れた葉が現れだすと、
次々と被害が拡大していきます。

被害が広がりはじめると
幼虫は分散して
食害するようになります。

中齢幼虫以降では、
1頭の幼虫だけで
葉脈や葉柄を残して暴食します。
この時期の幼虫が多い場合、
圃場全体が丸坊主になることもあります。

老齢幼虫になると果実の中にも食入したりします。

[シロイチモジヨトウ 被害]
特にネギ被害で有名ですが、
トマトも食害します。
幼虫が葉を食害します。

ナス科の被害は、
葉に穴を開けたり、
葉脈だけを残して葉を大胆に食害します。

[シロシタヨトウ 被害]
ごく普通に見られる害虫ですが、
近縁のヨトウガやハスモンヨトウのような
大発生はありません。

卵は多量に一か所に産みつけます。
ふ化した幼虫は群生して
すかし状に葉を食害します。

幼齢を重ねるうちに
しだいに分散し
独立して生活しはじめます。
生長すると
葉や花を特に好んで食害するようになります。

老熟幼虫は
日中は物陰や地際にかくれて、
夜に食害活動をします。


yotoumusi.jpg
体長5~6㎝にもなるヨトウムシ


■ヨトウムシ類 寄主作物

[ヨトウガ 寄主作物]
広食性の害虫で
イネ科以外の植物を食害します。
大きな被害を受けやすい作物は以下の通りです。

マメ科:エンドウ
アブラナ科:レタス、キャベツ、ダイコン、ハクサイ
ヒユ科:ホウレンソウ
ナス科: トマト、ナス、ピーマン、ジャガイモ、タバコ
ウリ科:キュウリ
バラ科:イチゴ
ネギ科:ネギ
キク科:ゴボウ
セリ科:ニンジン

[ハスモンヨトウ 寄主作物]
極めて広食性の害虫です。
野菜をはじめ畑作物や花卉、果樹にも寄生します。

マメ科:エンドウ
アブラナ科:レタス、キャベツ、ダイコン、ハクサイ、ブロッコリー、カリフラワー、カブ
ヒユ科:ホウレンソウ
ナス科: トマト、ナス、ピーマン、ジャガイモ、タバコ
ウリ科:キュウリ、スイカ、カボチャ
バラ科:イチゴ、バラ
ネギ科:ネギ
キク科:ゴボウ、キク、ダリア、キンセンカ
セリ科:ニンジン
アスパラガス科:アスパラガス
フキ科:フキ
シソ科:シソ
マメ科:ダイズ
タデ科:ソバ
ナデシコ科:カーネーション
サクラソウ科:シクラメン
イモ類:サツマイモ、サトイモ、ヤマノイモ

[シロイチモジヨトウ 寄主作物]
こちらも極めて広食性の害虫です。
主な植物は以下の通りです。

アブラナ科:レタス、キャベツ、ダイコン、ハクサイ、
ヒユ科:ホウレンソウ、テンサイ
ナス科: トマト、ピーマン
ウリ科:キュウリ、スイカ
バラ科:キイチゴ、イチゴ、サクラ、バラ
ネギ科:ネギ
キク科:ゴボウ、キク、、ヒマワリ
セリ科:ニンジン
シソ科:シソ
マメ科:サヤエンドウ、ダイズ、ウマゴヤシ、インゲンマメ
アオイ科:オクラ、ワタ
ナデシコ科:ハコベ、ナデシコ、
アカザ科: アカザ、フダンナ(フダンソウ、レッドチャードともいう)

[シロシタヨトウ 寄主作物]
マメ科作物に比較的多く発生します。

アブラナ科: キャベツ、ハクサイ、
ヒユ科:テンサイ
ナス科:シシトウ、ピーマン
キク科:ゴボウ
セリ科:ニンジン
シソ科:シソ
マメ科:アズキ、ダイズ、マメ科牧草
アオイ科:オクラ、ワタ
クワ科:クワ
タデ科:ソバ


■ヨトウムシ類 形態の違い

コナジラミやハモグリバエと違い、
幼虫が大きくなり、
種を特定しやすいです。

[卵編]
50個以上の卵を
一か所にまとめて産卵するのが
ヨトウガのなかまです。

ヨトウガは、50個以上の卵を
むき出しで
1段に産卵します。

シロシタヨトウは、
50個以上の卵をむき出しで
一部が複数段に重なっても構わず
産卵します。

ハスモンヨトウの卵は
50個以上の卵が
黄土色の毛で隠されています。

シロイチモジヨトウの卵は
50個以上の卵が
ライトグレーから薄い黄色の毛で隠されています。

なお、一つずつ産卵するのは
タバコガやコナガなどで、
ヨトウガ類の卵ではありません。

[1cm以下の幼虫編]
これくらいの大きさの頃のヨトウガ類の幼虫は
集団で食害します。

ハスモンヨトウの幼虫は
頭の後ろに1対の黒い斑があります。

ヨトウガの幼虫は
頭の後ろに黒い斑はなく、
尺取り虫のように歩きます。

シロイチモジヨトウの幼虫は
頭の後ろに黒い斑はなく、
尺取り虫のように歩きません。

なお、一頭で食害をしているのは、オオタバコガやコナガ類の幼虫です。

[1cm以上5cm以下の幼虫編]
まずは後ろ足で区別します。

ハスモンヨトウの幼虫は
頭の後ろに1対の黒い斑があり
後ろ足が4対あります。

ヨトウガの幼虫は
頭の後ろに黒い斑はなく、
体の色がイエローグレーからダークグレーで

シロイチモジヨトウの幼虫は
頭の後ろに黒い斑はなく、
体の色が多くは緑色(たまに褐色個体もいます)で、
体の両側面にピンクの斑点があり、
体に黒い点や太い毛がありません。

シロシタヨトウは
頭の後ろに黒い斑はなく、
頭は褐色の橙色で、胴は黄褐色か緑色で、
体の両側面に黄色い太い線があり、
体に黒い点や太い毛がありません。

なお、オオタバコガやタバコガの幼虫は、
体に黒い点があり、
そこから太い毛がでています。
また、ウワバのなかまの幼虫は、
後ろ足が2対です。


■ヨトウムシ類 生態

どのヨトウガもまとめて一か所に卵を産みます。
卵の大きさは5mm前後です。

[幼虫の発生時期]
多少の違いがあります。
ヨトウガは4月から発生し
5月と10月にピークを迎えますが、
8月は暑すぎるようで夏眠します。
夏眠中は蛹の状態なので、作物に被害がでません。
11月前に被害はおさまります。

シロイチモジヨトウとハスモンヨトウは
6月ごろから発生し
9~10月にピークを迎えます。
10月下旬には被害はおさまります。

[老齢幼虫~蛹]
こちらも違いがあります。

ヨトウガは5cmほどになりますが、
シロイチモジヨトウは3cm程度です。
ハスモンヨトウは4cm位です。

どのヨトウガも土中で蛹になります。

[成虫]
見た目と大きさに違いがあります。

ヨトウガは体長2cmくらいで羽は灰褐色から黒褐色です。
シロイチモジヨトウ体長は1cm強で、前羽中央に霞んだ橙色をした
円の斑紋があります。
ハスモンヨトウの体長は1.5~2cmくらいで、
褐色の地に白色模様が浮き出た羽の模様をしていす。

[越冬]
ヨトウガとシロイチモジヨトウは土の中で蛹で冬を越します。
ハスモンヨトウは幼虫化蛹で越冬します。


■ヨトウムシ類 対策

●対策
どのヨトウガに対しても、以下の4点は欠かせません。

①圃場への侵入を阻止します。
②作物への産卵をさせないようにします。
③老齢幼虫は薬剤の効きが鈍いので、若齢幼虫のうちに防除します。
④卵塊(1か所に沢山の卵が産みつけられている様を「らんかい」といいます)や
若齢幼虫の集団を見つけた場合は、
直ちにそれらのいる葉とともに摘みとり、
圃場外にて処分します。

●天敵
ヨトウムシの若齢幼虫を捕食する虫はクモ類やアマガエルなどです。