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ハダニ類 生態と対策

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  • by fruit
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現在、ハダニ類はダニの中でも、
最も重要な害虫に位置付けられています。

ハダニ類は、クモ(蜘蛛)網ダニ目ハダニ科に属する、
カンザワハダニ、ナミハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、
などの吸汁性の害虫の総称です。

クモ網に分類されているということは、
ハダニはクモの仲間です。

クモの仲間ですから、
ハダニ類の成虫は8本足です。

ほとんどのハダニ類は糸を、
触肢(頭から2番目の肢)の先から出します。

なお、足が8本なので昆虫ではありません。


[ハダニ類 生態と対策]


■ハダニ類 被害

葉の裏側にいます。
葉の裏で汁を吸います。

吸汁痕を葉の表側から見ると、
吸われた部分の色が抜け、
針で刺したような白い点に見えます。

吸汁箇所が少ないと分かりにくい被害です。

吸汁箇所が広がると
斑(ふ)入りの葉よりも水気のない
白褐色の痕になります。

被害が進行するほど
葉色は色が抜けて悪くなります。

草花や野菜では葉が落ちて
枯れることもあります。


■ハダニ類 寄主作物

寄主範囲は非常に広く、
ほとんどの植物に寄生します。

ナス科:ナス、トマト、ピーマン
ウリ科:スイカ、メロンなど
バラ科:イチゴ、バラ、リンゴ、ナシ
マメ科:エンドウ、インゲン、ダイズ、アズキ、ラッカセイ、クローバー、カラスノエンドウ
キク科:キク
ユリ科:アルストロメリア
ツツジ科:ドウダンつつじ
シソ科:クサギ
ヒルガオ科:コヒルガオ
クワ科:クワ
ツバキ科:チャ


■ハダニ類 形態

成虫の体長は0.5mm程度です。
芥子粒のように小さいので、
肉眼ではすぐにわからないこともあります。

[ハダニ類 色の違い]
赤い色のハダニ類は、
ナミハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニなどがいます。

黄緑色のハダニは
ナミハダニやカンザワハダニですが、
休眠するナミハダニやカンザワハダニの個体は
赤い色になります。

■ハダニ類 生態

施設栽培では
暖房の有無に関わらず、
ハダニ類は休眠することなく繁殖し、
栽培期間を通じて発生します。

なお、発生の多い時期は、
暖かくなり始める3月以降です。

露地や雨除け栽培では
梅雨明け以降の発生が多くなります。

発生条件は
高温であることと
乾燥していることが重なると
多くなります。

ハダニ類にとって生育環境が整っていると、
一世代の更新(卵から成虫になるまで)期間は10日ほどです。

つまりハダニ類に好都合な環境条件になると
短期間で高密度になってしまいます。

密度が高くなると糸を吐き、
風に乗って分散します。

ハダニ類は卵→幼虫→成虫と不完全変態し、
両性生殖も単為生殖もできます。

高温かつ乾燥を好むので、
梅雨明けから9月頃に大繁殖する傾向があります。
裏を返すと、水に弱いということになります。
夕立後や秋雨時は生息密度が下がります。

基本、卵や成虫の状態で越冬します。

カンザワハダニとナミハダニ(黄緑色型)は
短日で低温条件にさらされると、休眠します。

ところが
休眠しないナミハダニやミカンハダニは
暖地の自然条件下でも
1年中増殖することができます。


■ハダニ類 対策

ハダニ類の侵入経路は
・苗にハダニがついているとは知らずに持ち込んでしまった
・圃場の周辺に自生する雑草からの歩行や風による飛来
・作業者の衣服などにひっついていた

がほとんどといわれています。

小さすぎるハダニ類の侵入経路を絶つのは大変です。
かといって何もしないと、
被害が広まりますのでもっと困ります。


●耕種的防除

耕種的防除とは、
土づくりや輪作
抵抗性品種や台木などを利用して
病害虫の防除を行う方法のことです。

ハダニ類に寄生された苗を
定植しないことも
耕種的防除に含まれますが、

ハダニ類はとにかく小さい害虫で
チェックが大変ですので、
現実的な方法とは言えません。

ハダニ類の耕種的防除は
以下の2点が主になります。

圃場周辺の除草もこまめに行います。
除草した草は、放置せず、処分します。

作物はできるだけ密植を避けます。
ハダニ類の密度が上がったときの移住先が
間近だと被害株が広がりやすいからです。

●ハダニ類 生物的防除
生物的防除とは、
ハダニ類の天敵を利用する防除法です。
天敵も生物なので、
ハダニ類を完全に駆逐できありませんが、
大繁殖を防ぐのには有用です。
また、生態系の均衡を維持するのに
重要な役割を担っています。

ハダニ類の天敵にはカブリダニ類がいます。

カブリダニ類は
ダニ目カブリダニ科ですが
ハダニ類の卵、幼虫、成虫すべてを
捕食します。

カブリダニ類以外にも在来の天敵はいます。
ダニ目ではナガヒシダニ科のヒシダニ類です。
昆虫では、
ヒメハナカメムシやコヒメハナカメムシ、
キアシクロヒメテントウ、ハダニアザミウマ、
ハダニバエ、
ヨツボシクサカゲロウ、
ヤマトクサカゲロウなどがいます。

●ハダニ類 弱点
ハダニ類は
高温で乾燥した条件で
大繁殖します。

私たちが
圃場の気温を下げることは
至難の業ですが、
圃場の湿度を変えることはできます。
つまり水撒きです。

水やりのとき、葉の裏に水をかけることもおすすめです。
ただ、株元に水分とともにハダニ類が落ちるので、
株元の泥が跳ね返らないよう、注意します。

また、圃場の乾燥防止と、
泥の跳ね返り防止のために、
マルチシートを敷き藁に変えることも有効です。

●ハダニ類 化学的防除
化学的防除とは、
農薬を使った
薬剤防除のことです。

この薬剤で防除する方法は
ハダニ類が大発生しつつある時の
最後の切り札として
残しておいてほしい方法です。

ハダニ類の世代が変わる期間は
ハダニにとって好都合な条件がそろうと
たったの10日ほどです。

つまり
ハダニ被害を確認してから被害が落ち着くまで
こまめに防除することになります。
このとき
できるだけ系統の違う薬剤を
ローテーションを組んで使用し、
薬剤抵抗性をつけないように努めます。

*ハダニの画像は入手できませんでした。
かなり怖いですが、下記をご覧ください。
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